預金保険制度の「資金援助方式」の論点は?
前々回から預金保険制度のことを取り上げています。
なので、さらに今回と次回を使って
残りの論点を書いてみたいと思います。
今回は、預金保険制度の「資金援助方式」についてです。
では、以下みていきたいと思います。
預金保険制度の「資金援助方式」とは?
金融機関が破綻した場合、預金保険制度では
2つの方法の内から1つが選択されます。
その1つが「資金援助方式」であり、
もう一つが「ペイオフ方式」なんですね※。
この「資金援助方式」というのは、
破綻した金融機関を救済する金融機関が出現した場合には、
預金保険機構がその救済金融機関に対して、
資金援助を行うという方法のことを言います。
では、「資金援助方式」と「ペイオフ方式」は、
どちらか好きなほうを預金保険機構が選ぶのか
というとそういうわけではありません。
それは、金融審議会の答申(1999年)では、次のように、
資金援助方式を優先するように言っているからなんです。
「金融機関が破綻した場合、破綻処理に要するコストがより小さいと見込まれる処理方法を選択するとともに、混乱を最小限に止めることが重要であり、金融機関の破綻処理方式としては、資金援助方式の適用を優先し、保険金支払方式の発動はできるだけ回避すべきである」
※「ペイオフ方式」については、次回取り上げたいと思います。
なぜペイオフ方式より資金援助方式が優先されるの?
なぜ、「ペイオフ方式」よりも「資金援助方式」
が優先されるのかといえば、
「資金援助方式」の方がスピーディだからです。
つまり、救済金融機関が現れれば、
それだけ破綻処理は早く進みますよね。
また、預金者への預金の支払いや受け入れ、
貸付、決済などのサービスも、
すべて救済金融機関を通して受けることができるからです。
ちなみに、「資金援助方式」でも「ペイオフ方式」でも、
保護される金額は同じです。
つまり、1人当たり元本1,000万円とその利息が上限です。
なお、譲受金融機関が現れない場合には、
ブリッジバンク(承継銀行)が引継ぎ譲受金融機関を探す
といったケースもあるようです。